地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、尼崎の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

尼崎の地域情報サイト「まいぷれ」

【科学でお茶を】サイエンスカフェ伊丹

まんが少年

かめちゃん日記 

2019/12/07

こんにちは、サイエンスカフェ伊丹のスタッフブログです。
企画しているイベントの裏話や、科学こぼれ話などをポロポロつぶやかせていただきます。
のんびりお茶を飲みながら、おつきあいいただけると嬉しいです。
紅葉シーズン真っ只中!
もみじを愛でながら、読書に耽る・・・なんて、いかがですか?
『まんが少年、空を飛ぶ』<br>偕成社刊より<br>
『まんが少年、空を飛ぶ』
偕成社刊より
前回の『ナマコ天国』につづき、かめちゃんおすすめ本のご紹介です。

今から75年ほど前、マンガが大好きな少年が、家族へ宛てた手紙をまとめた本です。

少年の名は、山崎祐則(やまさき すけのり)さん。マンガを書く時のペンネームは、青空高士(あおぞら たかし)。

飛行機が好きだった彼は、飛行機乗りになりました。今でいうパイロットですね。
その当時、飛行機乗りを目指す人の多くは、海軍飛行予科練習生(予科練といいました)になりました。今と違って、パイロットへの道の選択肢はあまりなかったのです。

山崎さんは訓練の合い間をぬって、得意のマンガを添えて、家族へ手紙を送りました。

その内容は、海で魚を手づかみ(!)で取ってサシミで食べたこと、制服が変わったこと、大吹雪で雪まみれになったことや、雪が口に入ったけれど味はなかったとか、寒くなって洗濯をするのがイヤだなぁ、などなど、何気ない日常を切り取ったもので、思わずクスッと笑ってしまうものもたくさん…。

日本が戦争をしていた時代だから、つらいことや悲しいことが書かれていると想像しますよね。私もそう思いました。涙があふれて読むのがつらくなるんじゃないかと…。
でも、読み進めるうちに、ただただ癒されていました。

弟さんへ送ったお手紙をご紹介しますね。
『まんが少年、空をとぶ』P.74より
『まんが少年、空をとぶ』P.74より
ねっ、かわいいでしょ! おとぎ話がクイズ風になっていて、幼い弟さんが楽しめる演出が素敵ですよね。

他のマンガもコマ割りがされているものや、一枚の紙面に描かれたものなど様々ですが、どれもテンポが良くて、現代のマンガを読みなれた目にも半世紀以上前のマンガとは思えません。

マンガ王国・高知出身の山崎さん。同じく高知出身のアンパンマンの作者・やなせたかしさんは、山崎さんの6才年上だそうです。もしかしたら、アンパンマンとのコラボ作品ができていたかもしれませんね。でも、それは永遠にかなわない夢となりました。

昭和19年、九州から飛行機で飛び立った山崎さんは、家族のもとへ帰ることはできませんでした。19歳の春でした。

予科練時代を含め、2年半の間に書かれた手紙は、115通。
この本には、その全ての手紙とマンガが収録されています。
家族への最後の手紙が書かれたのは、昭和19年2月16日。
「2月14日に飛行機でお母さんたちのいる家の上を飛んだんだよ。もしかして気づいてくれましたか?」
というような内容です。

実家へは帰ることができない。せめて、飛行機で空の上からでも家を見たい。青空の下に、もしかしたら家族の姿を見つけることができるかもしれない・・・そんな思いが、決して感情的ではない手紙の文から痛いほど伝わってきます。

編集者の方におすすめのところは? とお聞きすると、この手紙を教えてくれました。

文字が小さくて読みにくいかもしれませんが、山崎さんの“家族への思い”を感じてください。
200ページを超えるちょっと大きい本ですけど、機会が合ったら、ぜひ実際に手に取ってご覧になってください。
でも残念なことに、所蔵している図書館が少ないようです(大きい本屋さんにはあるかな?)。
兵庫県下では、尼崎市立中央図書館にだけ所蔵されているようです。

数十年前の手紙なので、わかりにくい言葉もたくさん出てきます。
でも大丈夫。
マンガを見ているだけでも楽しいし、当時のことを知らない人にもわかりやすいよう丁寧な解説もついています。

少しづつ寒さが増してくる秋の夜長に、青空高士(あおぞらたかし)さんこと山崎祐則さんのほわっとやさしくあったかいマンガとお手紙、おすすめです!!

今回は、株式会社偕成社さんのご厚意で、『マンガ少年、空を飛ぶ』を掲載をさせていただくことができました。感謝を申し上げます。
そして、編集部の矢作春奈さんには、たいへんお世話になりました。
ありがとうございました♪

出典:
『まんが少年、空を飛ぶ』 山崎祐則:著、稲泉連:解説 偕成社刊
株式会社 偕成社 https://www.kaiseisha.co.jp/

※画像等の二次利用はご遠慮くださいね。
このブログのシェアは、大歓迎で~~す!!

今後のサイエンスカフェの予定
■第103回サイエンスカフェ伊丹 (受付中)
2019年12月14日(土)14~16時
植物工場研究センターの研究者が語る
「植物の防御応答とその利用」
ゲスト:山口夕さん (大阪府立大学 生命環境科学研究科准教授、植物工場研究センター副センター長)

■第104回サイエンスカフェ伊丹(受付中)
2020年1月25日(土)14~16時
「月と地球のビミョーな関係」
ゲスト:寺田健太郎さん (大阪大学理学研究科教授 専門は宇宙地球科学)

-----------------
★メールお申し込みが可能になりました★
lustrehall-itami@hcc1.bai.ne.jp
講座名・住所・氏名・電話番号を明記してください。 
送信後ラスタより返信がない限り申込確定ではありません。 
2~3日中に返信がない場合お電話でお問い合わせください。
■サイエンスカフェ伊丹■
2008年より伊丹市内で1~2か月に1度、「サイエンスカフェ」という、研究者の話を気軽に楽しめる場を提供しています。
伊丹市生涯学習センター(ラスタホール)を活動拠点とする市民団体です。
  
サイエンスカフェ伊丹ホームページ<http://cafeitami.web.fc2.com/

人気のキーワード