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男と女の「おかしな!?」ハナシ

水着のはなし

あなたの身の回りにも時々起こる

「これってどうなの?」「おかしくない?」という話。

このコーナーでは、毎回、「男と女のちょっとおかしな!?ハナシ」を、つぶやいてもらいます。

水着のはなし

今回のつぶやき主は恵美さん。

中学生の双子の子どもたちが選んだ「男女共用セパレーツ水着」について、夫の浩さんも一緒に話をしています。

恵美:「男女共用セパレーツ水着」、着てみてどうだった?

 小学校の時とは違うからどうかなぁって気になっていたんだけど。

マリン:私は体の線がはっきり見えなくて、まわりの目が気にならなくってよかったよ。

ショウヘイ:小学校の海パンより絶対よかった。

浩:セパレーツ水着って、市民プールの健康スイミングなんかで見る、上下セットになった水着だよな。

 それが男女共用なのかぁ。

恵美:他の子はどんなのだった?

マリン:半分以上セパレーツだった感じかな。

ショウヘイ:競泳用を着ていた子もいたよ。

 その子は競泳用がかっこいいって思うんだって。

浩:いろいろな子がいるんだな。

◆浩のつぶやき

俺が学生の時は、競泳用のピチピチのブーメランパンツだったな。

懐かしいなぁ。

別に嫌じゃなかったけど、女子と一緒の時はちょっとはずかしかったかな。

 

◆マリンのつぶやき

よかった。

今までのスクール水着、胸とおしりのラインや太ももが見えるから恥ずかしかったんだ。

日焼けも気になるし。

 

◆ショウヘイのつぶやき

パパやママには言えなかったけど、今までの海パンだと、おなかの手術あとがはっきり見えて授業中にみんながからかうから嫌だったんだ。

セパレーツタイプは傷が隠れるのがいいな。

 

◆恵美のつぶやき

LGBTQの子どもたちのことを考えたのがきっかけでできたジェンダーレス水着って聞いていたから、どんなのかなと思っていたけど結構よさそうね。

「少数者に寄り添う商品は、多くの人に優しい商品になる」って本当かも。

昔みたいに指定じゃなくって、従来タイプとどちらか好きな方を選べるっていうのもいいし。

ミニ知識

 

男女共用セパレーツ水着(ジェンダーレス水着)は、LGBTQへの理解や関心が高まる中で作られた。

学校現場でも「ジェンダーレス」への取り組みが進んでいることや、生徒全体から体系がくっきり見えない水着を望む声が出てきたことも背景にある。

伊丹市でも、複数の公立中学校で採用。

選択制にしたところ、ある中学校では6割以上がこのタイプの水着を希望した。

横からちょっと言わせて

弁護士で、不惑を越えてからの子育てに奮闘中の中村衣里さん

「水着のはなし」を拝見しながら、私の世代等で言うと、かつては「体操服のはなし」としても、当然のように男女は別のものを着用していたことを思い出しました。

特に女子は懐かしの「ブルマ」でしたね。

はっきり言って「嫌(イヤ)」でした(笑)。

中の下着がはみだしてこないか、いつも気にしながら体育の授業を受けていた記憶です。

このような余計なことに頭を回さなくてもよければ、体育が苦手科目になることはなかったでしょうに・・というのは言い訳ですが。

体操服(ブルマ)は、体育の授業だけではなく、たとえば健康診断等のときなどそれ以外の時間にも当時は着用しなければいけなかったと記憶をしています。

今から思えば、なぜそこまで無駄に肌を露出する必要があったのか、と思うような形でした。

誤解を恐れず(正直に)申し上げれば、着用する子どもたち(女の子たち)の意向や希望ではなく、大人たち(もしかすると、ジェンダーの視点から見れば、当時、体操服の採否を決める立場にいたのは多くが男性たちでしたね)の意向で決まっていたのではないかと、今回のおはなしを拝見しながら改めて思い返しました。

今回のおはなしでは、水着も男女共用セパレーツ水着が作られ、採用が進んでいるとのことです。

身体の線が見えることを気にする女子生徒にも、そしてもちろん同様のことに悩む男子生徒にも(男子が身体の線が出ることを気にするはずはないだろうという社会の思い込みがあれば、それもジェンダー問題ですね)、性自認に悩む生徒にとっても、こうした社会の動き、取り組みは朗報です。

またこれまでの男女別の水着であっても特段問題を感じていなかった生徒たちにとっては、もともと男女共用の水着であっても問題はないでしょうから、このように「誰にとっても」広く受け入れ可能な良いアイデアを、考えてみればこれまでどうして思いつかなかったのか、思いついていても採用し、取り組みがなかったのか、できなかったのかと思うところです。

これは、「これまでがそうだったから」という既成概念や、そうした固定概念に凝り固まった大人たちの決め事に、実際それらを着用し使用する当事者(子どもたち)の意見・声が反映されてこなかったために、生じてしまっていた現象だったといえるでしょう。

しかしながらこうした既成概念から解き放たれ、誰にとっても安心して、快適に過ごすことができる状況を整えることこそが大人の役割です。

こうした社会になりつつあることは素晴らしいことです。

そしてこのような社会の流れや新しい仕組みがどこかで起こることが、さらに別の分野にも同じような良い影響をもたらしてくれることでしょう。

このように社会の中で新しい流れが生まれるためには、日常を当たり前として見過ごさない目、他者の言葉に耳を傾け他者の気持ちに共感できる心、そしてこれまで正しいと思われてきた概念を打ち破る強い意志と勇気が必要ですね。

子どもたちのことだからと言って何もかも大人が決めるのではなく、現場の子どもたちの声を聴くことも大事です。

また同じように、意思決定の場で多数を占める男性が何もかもを決めるのではなく、当事者である女性や性的少数者の意見・声を聴くことも大事なのだと、こうした先進的な(もはや先進的ではなく当たり前になりつつあると思いますが)取り組みの話題を見聞きするほどに思います(だからこそ、意思決定過程におけるジェンダー平等や多様性への配慮が大切だと指摘され続けているところですね)。

ところで先日、学校で水泳の授業を受け始めた息子が、「上に着るの(※ラッシュガードのこと)買って!みんな着てるもん!」と言い出しました。息子の小学校ではラッシュガードは任意で着用をしても良いという取り扱いです。

もともとは日焼けによる発疹等から肌を保護するため着用が認められているのだとは思いますが、この私との『交渉』の過程で息子は、その理由として、「だって『ムネ』が見えたら恥ずかしいも~ん」と言いました。

そうだね!胸はまさしく「プライベートゾーン」。

女の子は当然のように胸を隠しているけれど、男の子はこれまで当然のように胸をさらけ出していたね。

けれど男の子だって恥ずかしい子(人)はいるはずだよね!・・私自身、既成概念、ステレオタイプに捕らわれていたことに気づかされた瞬間であり、これにより息子は『交渉』に勝ちました。

・・・その後、購入はしたものの、ラッシュガードは着たり着なかったりしている様子の息子。

もしかしたら皆が持っているものを自分も持ってみたかっただけなのかもしれませんが、こうした日常の会話を通しても、いろいろと気づかされる毎日です。


 

原稿担当 : NPO法人 あなたらしくをサポート(愛称:らしーく)
イラスト : 林やよい

 

※このイラストを利用されたい場合は「NPO法人あなたらしくをサポート」nporasiku@gmail.com までご連絡ください。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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