長岡：　うちの若手が一人、つわりがひどくて入院することになってね、
　　　　迷惑かけるから退職したいと電話してきたんだよ。

桂：　　責任感が強くて思いつめたのかしら。
　　　　でもそれはもったいないですよね。
　　　　ちゃんと慰留したんですか？

長岡：　もちろん。
　　　　でもそのあと、うちの女性陣がその人に話をしに行きたいと言ってきてね。

桂：　　話を？

長岡：　うん。うちは出産経験者が多いんだ。
　　　　つわりの時はマイナスの方向に考えすぎてしまうから、早まらない方がいいとか、
　　　　妊娠や育児の時期の仕事のこなしかたとかね。
　　　　今になって見えてきた、いろんなことを伝えたいって。

桂：　　ここまで育てた人材が辞めるのは会社にとって損失ですし、
　　　　本人だって一度やめると、今と同じレベルの仕事に再就職できる可能性はかなり低いですからね。
　　　　いい先輩たちじゃないですか。

長岡：　そうなんだよね。
　　　　確かにおれも、壁にぶつかった時は身近な先輩たちの話を聞いたり、生き方を見たりして
　　　　乗り越えてきたもんなぁ。

桂：　　そうそう。それを見て、男性ってなんて恵まれているのかしらって、何度思ったことか（笑）。
　　　　私には、女性の先輩が社内にいなかったから・・・。
　　　　女性が増えてきたことで、やっと後進の女性が育つ環境ができてきたんですよ。
　　　　長岡さんの部は、いい人材育成の流れができていますね。

長岡：　まぁ、桂さんは初の女性社員、初の女性管理職として一人先頭きって頑張ってきたもんな。
　　　　うちの会社は桂さんっていうロールモデルがいるから、若手女性も育つんじゃないかな。

◆長岡部長のつぶやき・・・・・
そうか。
いろんな先輩を見て学ぶのは当たり前のことだって思っていたけど、言われてみれば女性の先輩がいなかった桂さんには、そういう支えがなかったよな。
男性は女性に比べて恵まれていたのか。
これには初めて気づいたよ。

◆桂部長のつぶやき・・・・・
うちの会社、仕事を続ける女性が増えて、身近なロールモデルになる人がどんどん育ってきたみたい。
これって会社の財産よね。
つわりの彼女もこれを乗り越えたら、いいロールモデルになってくれそう。