ハッピーデザイン
15日は中秋の名月です。
麻衣さんが家に帰ると、お母さんが嬉しそうに声をかけました。
麻衣さん「どうしたの?お母さん。嬉しそうな顔をして」
お母さん「麻衣ちゃん、お帰りなさい。見て、見て!これかわいいと思わない?」
麻衣さん「なに、なに?あら!かわいい!ウサギのおまんじゅう!」
お母さん「明日は中秋の名月なのよね。思わず買っちゃったわ。」
麻衣さん「お月見しなくちゃね!今年は、晴れてくれるかしら~?」
お母さん「そうねぇ。そういえば、麻衣ちゃんが幼稚園のときはお団子も一緒に作ったわね。
おばあちゃんの家に行ったときにお月見どろぼうもしたわね。」
麻衣さん「お団子、懐かしいなあ。あれ?お月見どろぼうってなんだった?」
●今回のハッピーデザイン●
旧暦の8月15日(2016年は9月15日)は、「中秋の名月」「十五夜」と呼ばれ、古くから月見の好時節とされています。俳句でも月見は季語となっており、松尾芭蕉や小林一茶など多くの俳人が月見を題材とした俳句を呼んでいます。
そんな月見ですが、その由来は定かではありませんが、中国・唐の時代の「中秋節」が日本に伝来し、貴族階級に取り入れられたといわれています。
909年(延喜9年)に宇多法皇が観月の宴として催したことが最初の史実と言われていますが、そのときは和歌を詠んだり、管弦を楽しむ風流なものだったようです。
時代が進むと、この風習が秋の豊作を祝う農耕行事と結びつくことで広まっていったとされています。
江戸時代には月見団子を供えて月を鑑賞する習慣が身についていたようですが、この団子は里芋のような農作物を供えていたものから、芋よりも米の収穫を望まれたため、米の粉から作られた月見団子に稲穂を添える形となったという歴史があります。
さて、それでは麻衣さんのお母さんが言う「お月見どろぼう」とは何か?
お月見どろぼうとは各地で行われる子どもたちのお月見イベントの一つで、日本版のハロウィンのような風習です。
子どもたちを月からの使者として考え
・お団子を盗られると縁起がいい
・お団子を盗られた農家は豊作になる
・盗んだお団子を食べた子どもは長者になる
・七軒盗んで食べると縁起がよい
というような理由で中秋の名月へのお供え物をこの日のかぎって盗んでもよい、とされています。
現在でも「お月見ください」「お月見どろぼうです」と声をかけて、各家を周り、お菓子をもらう形で残っているそうです。
ちなみに、お月見どろぼうの風習でなくても、月見団子は農耕の神に感謝を捧げてそのおさがりをいただくことで家族の健康や、幸せを祈るものです。
いわゆる神人共食(しんじんきょうしょく)。神とひとが同じものを食べることによって親密になり、つながりを強くすることによって神のご加護を願うものなんですね!
このようにお月見は昔から受け継がれてきた風習です。介護施設でもお月見などの季節の風習はイベントの一つ、食の楽しみの一つとなっています。
こういった季節行事をきっかけにして、例えば、好きなお月見団子はどんなものかを聞いてみたり、昔のお月見はどんなものだったかを聞いてみることで、今まで聞けなかった話が出てくるかもしれません。
ささいなことかもしれませんが、そんな家族の思い出や、生活歴を知っておくことで、介護の現場や医療の現場で役立つようなことが聞きとれるケースもあります。
こういった季節の行事をきっかけにコミュニケーションをとってみることをおすすめします。
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