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【科学でお茶を】サイエンスカフェ伊丹

かめちゃん日記『地球のものさし』

サイエンスカフェ伊丹 ブログ「科学でお茶を」

2015/11/10

こんにちは、サイエンスカフェ伊丹のスタッフブログです。
企画しているイベントの裏話や、科学こぼれ話などをポロポロつぶやかせていただきます。
のんびりお茶を飲みながら、おつきあいいただけると嬉しいです。
毎週月曜更新予定 (*^^)v
地球のものさし
かめちゃんの地球シリーズ・第2弾!
突然ですが、
水月湖って、ご存じですか?
福井県にある三方五湖(みかたごこ)の5つの湖のうちの一つです。
水月湖の様子は、こんな感じ。曇り空の写真しかお見せできないのが残念です。

真ん中に浮いている三角は何かって?
拡大してみましょう。
何か書いてあります。
「年縞採集 水月湖」

年縞って、何かって?
あまり目にしない言葉ですよね。
私も初めて聞きました。

年縞の解説をする前に、水月湖についてご紹介しますね。

面積4.15平方Km、水深34m。
三方五湖で一番大きい湖で、江戸時代から明治時代には中ノ湖って呼ばれていた・・・そーんなプロフィール的なことじゃなくって!

水月湖は~~(大きな声を出してるつもり)
世界一!  の湖なんです!!
その理由は、水月湖の湖底に眠る「世界一の奇跡の地層」。

水月湖ができたのは、まだ日本列島にヒトが住んでいなかった15万年前。
その15万年前からの堆積物が地層となって、湖底に残っています。
普通の湖は、年月が経つごとに湖に流れ込む土砂などで埋まってしまうそうです。
が、水月湖は、湖の底もどんどん沈んでいるので、湖は埋まることなく15万年分の堆積物と一緒に今も15万年前と同じところにあるんだそうです。
まさしく、奇跡!
バームクーヘン!!!
バームクーヘン!!!
「奇跡」はこれだけではありません。
15万年のうちの「7万年分」の堆積物は、1年ずつ、まるでバームクーヘンのようにシマシマ模様で積み重なっているんです。
白い層と黒い層の1セットで1年分。
1年で1つの縞(しま)模様ができていきます。
これを「年縞(ねんこう)」というそうです。

ふぅ、やっと「年縞」という言葉に辿り着きました。

7万年分っていうだけでもスゴイって思うのに、どこが何年の層かわかるんですって!!!
世界中の科学者の方が、ものすごい時間と労力をかけて、解読してくださいました。

1年分のシマシマの厚みは、約0.6~1.2mm。7万年分で約45m。
その7万年分の年縞採集中の様子が、上の写真です。
でも、残念ながら実際の「採集中」の写真ではありません。
採集の様子を再現したものです。
岸からもっと離れた、湖の真ん中へんで採集したんだそうです。

年縞のシマシマは、ただのシマシマではありません。
奇跡の地層から発見されたのですから、「奇跡のシマシマ」です。

年縞は、世界のいくつかの場所で確認されていますが、こんなに長い年月分の年縞は水月湖だけ!!

そして、2012年に、水月湖の年縞が「地質学的時間の世界標準」になりました。
世界の標準時がイギリスのグリニッジ天文台であるように、地質の標準時が、水月湖なんです。
世界の「レイク・スイゲツ」です。

水月湖というものさしができたおかげで、出土品(土器など)の使われていた時代が、今までよりもずーっとはっきりとわかるようになったそうです。

また、年縞には、天候や地震が起きたこと、洪水が起きたこともちゃーんと「記録」されています。
7万年分の地球の日記帳ですね。

年縞について、もっと知りたいな~という方は、
http://www.pref.fukui.lg.jp/
の右上にあるサイト内検索に「年縞」と入れて、検索してくださいね。

そして、もし機会があれば、水月湖を訪れてみてください。
もちろん、湖の底の年縞が見られるわけではないのですけど、この水面のずっと下にある私たちの祖先が生まれる前からの地球の年表に思いを馳せてみてくださいね。
今この時も水月湖の縞模様は歴史を刻み、少-しずつ増えていっています。

地球から7万光年離れた星の7万年前の光を私たちが見ているように、7万年前の地球を目にすることができるなんて、すごいことだと思いませんか?

年縞は「日記帳」ですから、地質学だけでなく、環境、文化、気候なども記録されています。
時代によって変化する黄砂のルートの研究も進められているそうです。
あ、そうそう、年縞に関する大ニュースを忘れていました。
なんと! 来年度の中学校の教科書に年縞が載ります。
理科だけではありません。
国語と数学と社会の4教科に掲載されるそうです。
もし「発見」されましたら、サイエンスカフェ伊丹のFacebookまでお知らせいただけると嬉しいです!

最後に、年縞について詳しく教えてくださった若狭三方縄文博物館の学芸員さん、ありがとうございました。


参考文献:
「時を刻む湖 7万枚の地層に挑んだ科学者たち」中川毅著 岩波書店

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